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東京 美味しい日本料理店[椀に広がる無限の宇宙。茶の湯の精神が息づくもてなしの日本料理]

外苑前の名店「いち太」の佐藤太一氏からバトンを受け継いだのは、表参道の裏道にあるミシュラン一つ星店「太月」の望月英雄氏。茶の湯のおもてなしの心が息づく料理とサービスで、人々の舌と心を魅了する。(撮影・取材2017.3)


望月氏が日本料理を志すようになったのは、高校卒業後に修行に入った懐石料理店「龍雲庵」の主人、後藤紘一良氏からの影響が大きい。弱冠27歳で「胡蝶」の料理長に抜擢され、長きにわたって懐石料理を極めた後藤氏に師事することで、茶の湯や茶懐石の世界観にすっかり魅せられてしまった。「時の権力者が膨大な富をつぎ込んで江戸時代に大成した茶の湯は、日本文化の極み。和の総合芸術のような一面に惹かれます」と望月氏。無駄を省き、素材の旨味を丁寧に引き出した望月氏の料理のひとつひとつからは、日本の四季と自然の美しさや奥深さが感じられる。それはまさに、小さな椀の中に広がる無限の宇宙。茶の湯に通じる、詫び寂びの美学なのだ。

そんな深みのある味わいは、料理ごとに約10種類の出汁を使い分けることで実現している。鰹節は店で削り、一番出汁のみを使う。しかも、時間の経過とともに風味が落ちるため、客の来店時間に合わせて、都度出汁を取るというこだわりようだ。


 

椀の「あいなめ葛たたき」はつるつるとした喉ごしが楽しい逸品。一汁三菜を基本とする茶懐石の世界では、一汁である椀はメインディッシュと同じ。最後の一滴までいただきたい。


 

飲食店を経営する両親のもとに生まれ小さいころから夫婦二人三脚で店を切り盛りする姿を見て育った望月氏は、「大将と女将のいる、家族経営の温かい店を作りたい」と言う。妻でもある女将を中心に、若いスタッフによって行われる心のこもったサービスは、客を緊張させることがない。


太月

03-6450-5991

港区北青山3-13-1 北青山関根ビルB1

11:30~14:00(L.O.13:00)、18:00~23:00(L.O.21:00)

定休日:日曜・祝日

 


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